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Gibson Nick lucas Special (1928)
¥3,080,000. (税抜¥2,800,000.)
- CONDITION:
- EX+
- TOP:
- Adirondack Spruce
- SIDE BACK:
- Honduras Mahogany
- FINGER BOARD:
- Rosewood
- BRIDGE:
- Rosewood
- NUT WIDTH:
- 44.5mm
- BRACING:
- Original A Bracing
- PICKGUARD:
- ー
- SCALE:
- 616mm
- BINDING:
- White
- TUNER:
- 3 per side
- CASE:
- Hard Case
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ギブソンが提供した最初のアーティストモデルとして、1927年から生産されたニック ルーカスモデル。
1928年製で12フレットジョイント仕様の、初期のニック・ルーカス・モデルが入荷しました!
ニック ルーカスモデルは1927年から1941年までの間、様々な仕様変更があり、同名モデルとしては非常に多種なバージョンが作られていますが、どの仕様も非常に完成度が高く、それぞれの年代、仕様でフアンの多いギターで、Nick Lucas Specialの名の通り、特別に作られたモデルなので生産数も他のモデルよりも少なく、市場にもなかなか出てこない高級ギターです。
1937年から1941年にかけて57本の出荷記録が確認されていますが、それ以前は不明。総生産本数はおそらく約100本位とも言われており、マーチンのオリジナルD-45やローズウッドのSJ-200とほぼ同じくらい珍しいものになっています。
ニックルーカスモデルはボディ内部の白いラベルにシリアルナンバーが書いてありますが、1928-29年頃にラベルだけ先に大量に作られており、このシリアルナンバーは正確な年代を特定するのに信用性がありません。
年代を特定するにはネックブロックに書いてあるFONナンバー(Factory Order Number)を見るのですが、この個体のFONナンバーは9009となっており、資料によるとこのFONナンバーが使われたのは1928年となっています。
(FONナンバーは全て資料として残されている訳ではなく、不明な物も多くあります)
このギターの各部を見て行きますと、ボディは初期モデルの13 1/2サイズでボディ厚が4 1/2の深胴タイプとなっております。
この時期はアーチトップのL-1などの流れを汲むボディのお尻が丸みを帯びた形状で12フレットジョイントのスタイルとなっており、おそらくアーチトップ時期の名残なのでしょうか、現代のフラットトップギターよりもトップのドーミングが強く軽くアーチ状になっており、その痕跡もネックジョイント部を指板サイドから見るとこの時期独特のネックの挿し角などから見て取れると思います。
また、トップのブレーシングパターンもギブソンがフラットトップを作り始めた時期だからでしょうか、この後のXブレーシングのスタイルが確立されるまでには数種類のブレーシングパターンが存在し、このギターには俗にAブレーシングやHブレーシングなどと呼ばれる、過渡期の独特なブレーシングパターンが採用されております。
トップ材にはアディロンダックスプルースが用いられ、近年の木材とは違い、木目が細かく緻密且つ均一に整った良材が用いられており、サイド&バック材にもエキゾティックにうねる美しいホンジュラスマホガニー材が使われています。
この良材を用いたボディは深く渋いサンバーストカラーで仕上げられており、この時期らしい中心部の黄色味が小さく、周りのブラウン部も薄らと微妙に木目が透けて見えるぐらいの絶妙な濃淡で仕上げられており、他の時期とは違う、この時期独特の絶妙な表情を持っております。
古い時期らしいテーパードのヘッドには、黒いヘッドトップに古いスクリプトスタイルのザ・ギブソンロゴがパールインレイで施されており、古いオープンギアのチューナーは3連タイプのGroverで、現代よりもややすっきりとした戦前のこの時期らしいヘッド形状と相まって、独特な風合いを醸し出しております。
指板やブリッジはブラジリアンローズウッドで、指板にはニックルーカス特有の様々な形のインレイが3フレットから15フレットまでのポジションに装飾されております。
ブリッジは最初期のピラミッドブリッジの次に採用されていた、予備のブリッジピンが一つ追加された特殊な3段ブリッジがオリジナルと思われますが、現在はブリッジのベース部からブラジリアンローズウッド材でかなり以前に作り直されております。
ボディ内のブリッジベース部を確認すると、予備のブリッジピンの穴跡が残っておりますので、年式的にもオリジナルはこの3段ブリッジだったと思われ、同じ形状で上手く再現されておりますが、特徴的な予備ブリッジピンは再現されておらず、付いてりませんでした。
ネック材は綺麗な杢目のマホガニーネックで指板も赤黒く濃いめな色合いのローズウッド、スケールはこの時期独特の24.25インチ(約616mm)となっており、ナット幅は約44.5mmでややガッシリとしたUシェイプですが、極太というほどの太さではなく、この年式から想像するよりも握り易いグリップ感かと思います。
ネックバインディングはボディのバインディングと同じ白で、真ん中に黒のラインの入った<ニックルーカス独特の仕様で、ボディのトップ&バックにも白黒白の3プライのバインディングとなっております。
ギターの鳴りはマホガニーらしい軽快な出音が印象的で、フィンガーピッキングで力強く弾いても、音が濁らずにクリーンで洗練されたトーンを持っております。
ボディは小さいですがディープボディの為か音に深みがあり、経年変化による枯れたトーンが心地よく響いており、深い響きなのに音が軽く出るこのニック・ルーカス特有のサウンドは、他のギターや現代のギターでは絶対に実現出来ないサウンドです。
12フレットジョイント特有の甘く柔らかなトーンで、この小柄なサイズ感ながら、軽くジャランっとストロークしただけでも、スッと音が前に出る感覚は戦前のこの時期のギブソンらしい響きで、やはり経年変化で枯れて反応が良くなったからでしょうか、ボディやネックをふくめて全体で鳴ってくれる感じが素晴らしいギターです。
製造は1928年製と100年近く経たギターで、細部の修理箇所等の状態は、トップのブリッジ下に親指大で材がささくれた箇所の修復、バックにはクラックの裏当て有りの大きめな修理が2箇所と端近くの小さなクラックが更に2カ所、サイドには目立たない程度のフェザークラックが数カ所あり、ブリッジは木部から作り直されております。
その他、ナットやサドル、ブリッジピンやエンドピンの交換は有り、ケースもオリジナルは欠品してノンオリジナルのハードケース付属となりますが、入荷時にネック等の調整を致しておりますので、現状では演奏性には問題ございません。
近年ではなかなか見かける事の無いニック・ルーカスでも初期のタイプで、各部の修理、調整箇所などはありますがギターの希少性やこの独特なルックス、そしてヴィンテージらしいサウンドなど、ギブソンファンにはたまらないモデルですので、気になる方は是非お問い合わせください!